「昼顔」昼は娼婦、夜は人妻|抑圧した欲望は彼女を壊すのか

昼に咲く花=昼顔の偽名を使い、夫に隠れて売春を始めた妻。その心の奥底にあるものは…。美貌の絶頂期にあったカトリーヌ・ドヌーヴが、巨匠ルイス・ブニュエルと初めて組んだ名作。

若く美しい人妻セヴリーヌは、医者の夫ピエールと平穏な結婚生活を送る一方、鞭打ちや緊縛といったマゾヒスティックな夢想に耽ってもいた。彼女は夫を愛しているが、夫との性生活にはのめり込めないものを感じている。ピエールはそんな妻の気持ちを尊重しつつも、二人の間には欲求不満がくすぶっていた。ある日知人の男ユッソンからパリにある秘密高級売春宿の住所を聞いたセヴリーヌは、思い切って売春宿に足を運ぶ。そして夫が勤務中の昼間だけ、そこで客を取り始める…。

故郷スペインのみならず、世界各国で数々の傑作を生み出したルイス・ブニュエルが、フランスで作り上げた一篇。

多様な性的嗜好を備えた客の要求に応える売春婦たちを描いた奇妙な場面には、ブニュエル一流のユーモアと恐怖とエロティシズムの融合、不合理なものに対する探究心がうかがわれる。加えて、若妻の秘められた欲望と罪悪感、過去のトラウマを白昼夢のように描いた不可思議な場面の数々が、彼女の現実世界と内面世界を常に反転させ、鑑賞後も観る者を惑乱し続ける。

抑圧された欲望

人間は様々な感情を抑圧する。

しかしそれは表面上であって、その欲望が消えることはない。

むしろ抑圧すればするほど、無意識化では欲望が大きくなる。

精神分析学的、シュルレアリスム的に捉えると、その問題は性についてだけでなく、あらゆる欲望にも言い当てることができる。

一人の人妻の隠された欲望を露わにしただけでなく、人間の深層心理について深く考えさせられる作品。

時にユーモアを交え、残酷さやエロティシズムを表現するブニュエルに感嘆した。