『モモ』は、ドイツの作家ミヒャエル・エンデによる児童文学作品。1973年刊。1974年にドイツ児童文学賞を受賞した。各国で翻訳されている。特に日本では根強い人気があり、日本での発行部数は本国ドイツに次ぐ。 1986年に西ドイツ・イタリア制作により映画化された。映画にはエンデ自身が本人役で出演した。
あらすじ
町はずれの円形劇場あとにまよいこんだ不思議な少女モモ。モモに話を聞いてもらうと、幸福な気持ちになるのでした。そこへ、「時間どろぼう」の男たちの魔の手が忍び寄ります……。「時間」とは何かを問う、エンデの名作。
大人になったからこそ読みたい
子供向けに書かれてはいるものの、内容はかなり深く、大人になってからこそ読むべきだと思った。
「時間とは何か」深く考えさせられるし、大人になって読むからからこそ、その難しさも感じる。
お話の中では、生活の中に無駄をなくして作った時間が灰色の男たちに奪われてしまうのだが、現実的には資本主義社会での資本を持つ者に置き換えることが出来る。
みんなが、お喋りや、まったりと過ごす時間を無駄として排除し、時給として時間を金に置き換えてそれを搾取してゆく。
人々は苛立ち、常にあくせくしながら無駄を減らしてお金を作ることに夢中になる。
大切なものを少しずつ失い、仕事に対する熱意も失ってしまう。
現代人は豊かになったのか?
むしろ随分と貧しくなった。
そういうことをエンデは物語を通して語ってきます。
しかし、それだけではなく、その失ったものを思い出させてもくれます。
ロマン主義的な純粋な詩的夢幻の世界、深くゆたかな人生の真実を告知する童話の世界の中にすっぽりと包み込まれる特殊体験に出かけよう。
いまモモが身をもって知ったことーそれは、もしほかの人びととわかちあえるのでなければ、それをもっているがために破滅してしまうような、そういう富があるということだったからです。ー