潜在意識の旅

1週間ほど旅に出てきた。夜行バスを乗り継ぎ、名古屋、伊勢、奈良、京都、広島、福岡と西日本を横断した。人生の節目節目で旅に出たくなることがある。そういう時には何か目的があるわけではなく、ただ移動したいという感じだ。

私は移動が好きで、特にバスに揺られながら景色を眺めているととても落ち着くのだが、その心地よさには脳が潜在意識と混ざり合うような感覚がある。脳の回路が変わるのだ。普段、論理的に思考しているとどうしても結論が凝り固まってくる。そのような思考は外側の、表面的な言葉の断片がガチャガチャと組み合わさっていくような不恰好さがあり、結論もなんだかぎこちなくしっくりこない。重要な決断を下したい時はむしろ直感的な、深層心理の中から答えを導き出さなければ二度手間になると思っているから、ただぼうっとする時間を大量につぎ込むようにしている。こういった行為の途中で、「AだからBだよね」みたいな話をされると変性意識状態がすこぶる台無しになるので、そういった意味でもひとり旅は最適だ。

このような深層心理を探る期間はとても憂鬱だし、スッキリしなくて苛々するし、恐怖さえある。深層心理の中には過去のトラウマや、嫌な記憶も全部詰まっていて、普段は蓋をしている汚い感情や、忘れようとしていたこともどんどん出てくるからだ。そんな人生のゴミ箱に手を突っ込みながらガサゴソと何かを探していると、ふと紙切れみたいなものが出てきて、そこには人生の矢印みたいなものが書き込んであったりする。

旅を終えて数日、タバコばかり吸って苛々していたものの、やっと紙切れを見つけたようだ。これで、今回の旅も終わりと言うことができる。