「自由の牢獄」自由であることの不自由

 

長い熟成期間を経てまとめあげられたエンデ晩年の傑作短編小説集。精神世界の深みにおもりをおろし、そこに広がる様々な現実を色とりどりの花束に編み上げた、エンデ文学の到達点を示す力作。ドイツ・ロマン派的伝統を背景に、手紙・手記・パロディ・伝記など多彩な手法を駆使して、ファンタジーの世界が繰り広げられる。

自由であるということの不自由

実を言うと、エンデを知らなかった。

本が読めるカフェでたまたま手にして読んだものだったが、かなり衝撃的だった。

まさに、これだったからだ。

日頃、我々を苦しめている空虚さ。

短編小説集の中に「自由の牢獄」というストーリーがある。

主人公は突然、扉が101個ある部屋に閉じ込められてしまう。

どれを開けても良いのだが、どれかを開ければ他の扉の可能性は永遠に無くなる。

最初から一つしかなければどんなに幸福にその扉を開けることだろうか。

なんの根拠もなく、先も見えない状態で、余りにも多い扉の中から一つを選ばなければならない状態はまさに苦しみであった。

何も選べなくなり、無気力になり、無関心になる。

自分の心情と重なった。

他の物語も、読みやすいのに、かなり深い。

何度でも読める哲学的な内容だ。

ファンタジーのようで、かなりリアルな、不思議な精神世界の旅に出よう。